静寂〜しじま

あの頃の僕らの 毎日の会話は
滑稽で愚かだったけど とても綺麗だった

いつしかあいずちは ため息に変わり
変わるはずのない明日へと 流れていった

近頃言い訳ばかり考えてる事、知ってるんだろ?
前向きな言葉で僕を叱ってよ 今はただ

憧れたしじまの中 こうしていることに
僕らは気づくたび 言葉を亡くしてく

いつかもこんな風に紅茶を飲みながら
他愛ないこと話し合ったよね 眠るのも忘れ

あの頃のふたりの夢ならまだここに転がってるけど
燃えないごみの日に出して笑えたら楽だろうな

張りつめたあの糸は今どうなってるの?
僕らは聞こえないふりして黙り込む

ありふれた言葉ほどうまく言えないまま
僕らはくたびれた体を重ね合う

灯りは消えてゆく

憧れたしじまの中 こうしているけれど
僕らは気づくたび 言葉を亡くしてく
憧れたしじまの中 こうしていることに
僕らは気づくため 唇をあわせる


 
Fall

壊れてしまいそうな君の髪を僕は撫でる
涙の止め方とか知っていたはずなのに
潤んだその目が僕を見ている間に
思い出していれば何か変わったのかな

うつむいたままの君、僕はただ立っている
強い抱きしめ方とか知っていたはずなのに
黙り込む時間が甘く切ない間に
僕は言葉をキレイに失った

そばにいて どこへも行かないで
冷え切った手でもいい 僕にさわって

夜が来るのを待っている それとも来ないでと願う
怖いことはすっかり慣れっこなはずなのに
君が笑ってる顔が消えない間に
果てしなく甘えていたらどうなった

そばにいて どこへも行かないで
冷え切った手でもいい 僕にさわって

潤んだその目が僕を見てる間に
思い出していれば何か変わったのかな
黙り込む時間が甘く切ない間に
僕は言葉をキレイに失った

そばにいて どこへも行かないで
冷え切った手でもいい 僕にさわって


 
しあわせとは

何を話すわけでもなく気がつけば朝に変わっていた
コーヒーカップの底、飲み残しが乾いてる
何を始めるのでもなく何本目かのタバコをくわえた
寝顔を起こしたいようなこのまま見ていたいような

伝えたいことたくさんありすぎて僕はただ
無口になっていた
妙な理屈よりたった一度好きだと言えば
なにもかもがよく見える

言い争うのはどうでもいいことばかりで時ばかり過ぎた
黙り込む時はいつもふたり同じことを思う
君はいつも僕の顔を見る だからというわけではないけど
僕は君をいつも見たい ずっと見続けていたい

伝えたいことたくさんありすぎて僕はただ
無口になっていた
妙な理屈よりたった一度好きだと言えば
なにもかもがよく見える


 
一番欲しいもの

どんな神様がいて 誰を助けたとしても
僕は無神論者です 頼る気にはなれないです
だけど今ひとつだけ 頼るものがあるとすれば
僕をいつも見つめる 彼女の目とその奥底

僕はなにも求めない 欲しいものは全部ここに
あるという充足のなか 埋もれていたい

父なる神様がいて 懺悔を求められても
僕はなにも話さない 許しを請うたりしない
だけど今僕のこと なにもかも話すとすれば
僕を抱きしめてくれる 彼女の胸と腕の中

僕はなにも求めない 欲しいものは全部ここに
あるという充足のなか 埋もれていたい

有り難い教えだから 本を読めと言われても
僕はとても眠いんです 活字は今追えないんです
部屋の灯りを落として 柔らかいまどろみの中
彼女の寝息聞きながら ゆっくりと今落ちてゆく

僕はなにも求めない 欲しいものは全部ここに
あるという充足のなか 埋もれていたい



 
だいすき

君と手をつないで歩いていきたくて
2時間かけてそれを説明する僕
黙ったまま膝を見つめ続ける君
僕はつむじに向かって話しかけてる
飾りのない笑顔をまた見せて欲しくて
千の言葉でそれを説明する僕
やぶからぼうに君はナイフを抜いて
僕の胸に深々と突き立てたんだ

「だいすき」って言葉
それが僕の息の根を止めた
わかったんだ
君の隣にいるのは僕以外の誰か

別れが怖いから誰とも出会いたくない
2時間かけてそれを説明する僕
黙ったまま僕を見つめ続ける君
僕は壁ばかり見つめて話し続ける
君は僕のことなんにもわかっちゃいない
千の言葉でそれを説明する僕
やぶからぼうに君はナイフを抜いて
僕の胸に深々と突き立てたんだ

「だいすき」って言葉
それは全部壊して届いた
わかったんだ
君の隣にいるのは誰でもないこの僕

やぶからぼうに君はナイフを抜いて
僕の胸に深々と突き立てたんだ

「だいすき」って言葉
それはすべての時間を止めた
わかったんだ
それはとても残酷な言葉
「だいすき」って言葉
それはすべての流れを止めた
わかったんだ
君のひとことに敵う正論なんてないんだ