一番欲しいもの

どんな神様がいて 誰を助けたとしても
僕は無神論者です 頼る気にはなれないです
だけど今ひとつだけ 頼るものがあるとすれば
僕をいつも見つめる 彼女の目とその奥底

僕はなにも求めない 欲しいものは全部ここに
あるという充足のなか 埋もれていたい

父なる神様がいて 懺悔を求められても
僕はなにも話さない 許しを請うたりしない
だけど今僕のこと なにもかも話すとすれば
僕を抱きしめてくれる 彼女の胸と腕の中

僕はなにも求めない 欲しいものは全部ここに
あるという充足のなか 埋もれていたい

有り難い教えだから 本を読めと言われても
僕はとても眠いんです 活字は今追えないんです
部屋の灯りを落として 柔らかいまどろみの中
彼女の寝息聞きながら ゆっくりと今落ちてゆく

僕はなにも求めない 欲しいものは全部ここに
あるという充足のなか 埋もれていたい


 
からっぽの僕、犬とお散歩

からっぽの僕、犬とお散歩 からっぽの僕、犬とお散歩
ヤツはしっぽフリフリ 電柱嗅ぎ嗅ぎ
僕は見るともなしにヤツを眺めてた

からっぽの僕、犬とお散歩 からっぽの僕、犬とお散歩
雑巾みたいな僕の小さな子分
僕はヤツの頼れるボスなのさ

臨時ニュースの殺人事件 どうでもいいこたぁないけどよ
みそ汁の匂い漂う道を ひとりと一匹 楽しいな

からっぽの僕、犬とお散歩 からっぽの僕、犬とお散歩
急に走ると あの角のマスチフが
ワンコラ騒いで近所迷惑さ

環境会議の馴れ合い具合 どうでもいいこたぁないけどよ
みそ汁の匂い漂う道を ひとりと一匹 楽しいな

腹の立つことばっかりで
みんな死んじゃえなんてテレビに叫んだ後
みそ汁の匂い漂う道を ひとりと一匹 楽しいな

からっぽの僕、犬とお散歩 からっぽの僕、犬とお散歩


 
Fall

壊れてしまいそうな君の髪を僕は撫でる
涙の止め方とか知っていたはずなのに
潤んだその目が僕を見ている間に
思い出していれば何か変わったのかな

うつむいたままの君、僕はただ立っている
強い抱きしめ方とか知っていたはずなのに
黙り込む時間が甘く切ない間に
僕は言葉をキレイに失った

そばにいて どこへも行かないで
冷え切った手でもいい 僕にさわって

夜が来るのを待っている それとも来ないでと願う
怖いことはすっかり慣れっこなはずなのに
君が笑ってる顔が消えない間に
果てしなく甘えていたらどうなった

そばにいて どこへも行かないで
冷え切った手でもいい 僕にさわって

潤んだその目が僕を見てる間に
思い出していれば何か変わったのかな
黙り込む時間が甘く切ない間に
僕は言葉をキレイに失った

そばにいて どこへも行かないで
冷え切った手でもいい 僕にさわって


 
手をつなごウ。

言葉が足りなかったり余計だったりナイフになったりしてきた
想いが偶然出会ったりすれちがったり誰かを壊したりしてきた

ところで手なんかつないだりなんかしてみようか?
この僕と手なんかつないだりなんかしてみようか?

楽しいことや面白いこと切なく甘い恋 忘れちゃうくらいしてきた
悲しいことや辛いこと醜いあの言葉 忘れられず残った

ところで手なんかつないだりなんかしてみようか?
この僕と手なんかつないだりなんかしてみようか?

今、僕の手はつなぐため
今、僕の手は抱き寄せるためだけに動く

ところで手なんかつないだりなんかしてみようか?
この僕と手なんかつないだりなんかしてみようか?


 
頑張れって言葉が嫌いな君に僕は問いかける

思い出は美しいに決まってる
これ以上汚れてしまわないから
きれい事だと言われようが
二人の時間は消せやしないもの

涙の後には虹の橋が架かってるよ
君は消えてゆく 名も知らぬ街へ

見上げたら変な雲見つけた
そういう時にちょっと思い出すけれど
昨日のことばかり喋ってちゃ
今日や明日に愛想尽かされちゃうぞ

雨上がりのぬかるみに足を取られながら
僕は歩き出す 轍の向こうへ

大丈夫 大丈夫 僕は相も変わらず
あれこれ悩んで暮らしてるよ
大丈夫 大丈夫 頑張れって言葉が
嫌いな君に僕は問いかける

もう一度逢いたいなんていう想い
淡い思い出になって誰かに話せるよ

最後にありがとうって言えれば醜いウソも吹っ飛んでく
僕は君の肩 軽く叩いたよ

大丈夫 大丈夫 僕は相も変わらず
うだうだ悩んで暮らしてるよ
大丈夫 大丈夫 頑張れっていう言葉が
嫌いな君に僕は問いかける

もう顔も声も思い出せない君に僕は問いかける


 
だいすき

君と手をつないで歩いていきたくて
2時間かけてそれを説明する僕
黙ったまま膝を見つめ続ける君
僕はつむじに向かって話しかけてる
飾りのない笑顔をまた見せて欲しくて
千の言葉でそれを説明する僕
やぶからぼうに君はナイフを抜いて
僕の胸に深々と突き立てたんだ

「だいすき」って言葉
それが僕の息の根を止めた
わかったんだ
君の隣にいるのは僕以外の誰か

別れが怖いから誰とも出会いたくない
2時間かけてそれを説明する僕
黙ったまま僕を見つめ続ける君
僕は壁ばかり見つめて話し続ける
君は僕のことなんにもわかっちゃいない
千の言葉でそれを説明する僕
やぶからぼうに君はナイフを抜いて
僕の胸に深々と突き立てたんだ

「だいすき」って言葉
それは全部壊して届いた
わかったんだ
君の隣にいるのは誰でもないこの僕

やぶからぼうに君はナイフを抜いて
僕の胸に深々と突き立てたんだ

「だいすき」って言葉
それはすべての時間を止めた
わかったんだ
それはとても残酷な言葉
「だいすき」って言葉
それはすべての流れを止めた
わかったんだ
君のひとことに敵う正論なんてないんだ


 
ふたりの屋根

雨がどんなに降りつけようが 風がどんなに吹きつけようが
太陽がどんなに照りつけようが ふたりの屋根に問題はない
政治がどんなに腐ろうが 凶悪事件にテレビが騒ごうが
並木が見るたび 枯れていこうが ふたりの屋根に問題はない
問題は ないよね?

インフレがどんなに進もうが 失業率が上がろうが
どこかで誰かが泣き叫ぼうが ふたりの屋根に問題はない
問題は ないよね?

雨漏りだ 寄り添おう 大丈夫さ キスをしよう!

雨がどんなに降りつけようが 風がどんなに吹きつけようが
太陽がどんなに照りつけようが ふたりの屋根に問題はない
どこかの偉そうな人の天国や どこかの偉そうな人の地獄が
どんなに激しく叩きつけても ふたりの屋根に問題はない
問題は ないよね?



 
静寂〜しじま

あの頃の僕らの 毎日の会話は
滑稽で愚かだったけど とても綺麗だった
いつしかあいずちは ため息に変わり
変わるはずのない明日へと 流れていった

近頃言い訳ばかり考えてる事、知ってるんだろ?
前向きな言葉で僕を叱ってよ 今はただ

憧れたしじまの中 こうしていることに
僕らは気づくたび 言葉を亡くしてく

いつかもこんな風に紅茶を飲みながら
他愛ないこと話し合ったよね 眠るのも忘れ

あの頃のふたりの夢ならまだここに転がってるけど
燃えないごみの日に出して笑えたら楽だろうな

張りつめたあの糸は今どうなってるの?
僕らは聞こえないふりして黙り込む

ありふれた言葉ほどうまく言えないまま
僕らはくたびれた体を重ね合う

灯りは消えてゆく

憧れたしじまの中 こうしているけれど
僕らは気づくたび 言葉を亡くしてく
憧れたしじまの中 こうしていることに
僕らは気づくため 唇をあわせる